研修を積み重ねて、毎日のケアに広げていく
――ユマニチュード®実践者育成研修(2025年8月|当院2回目)
2025年8月、三芳の森病院ではユマニチュード®実践者育成研修(当院2回目)を実施しました。今回は2B病棟から6名が参加し、看護師・看護助手・作業療法士が4日間にわたり、講義・演習・病棟での実習を組み合わせて、日々のケアの向き合い方を確かめました。
指導は、ユマニチュード®日本導入期より活躍されている林インストラクターにご担当いただきました。前回(2025年6月)は2A・2B病棟から各6名の参加でしたが、今回は2B病棟に焦点を当てての実施です。
(インストラクターによる講義に真剣に取り組む職員たち)
参加したのは、介助への抵抗がある患者さんへの関わりに迷いを抱える中堅看護師、拒否が出るおむつ交換の進め方に不安がある1年目の看護助手、介護職を経て看護師となり「うまくいかないときに焦りが募る」自分を見直したいというベテラン、作業療法士として「ご本人のやりたいこと」と支援のギャップを埋めたいと願う職員、「安全に“立つ”をどう見極めるか」を確かめたい看護助手など、多様な背景をもつ面々でした。
役割も経験も異なる6名が、それぞれの「いま」を持ち寄って学び合う4日間になりました。
今回の研修で見えてきたこと
(ユマニチュード®の技術を使って誘導すると、患者さんが自ら立って歩こうとされました)
病棟での実習では、出会い方や声の届け方、立つ・座るといった動作の手前のコミュニケーションまでを丁寧に見直しました。
たとえば、これまでベッド上でのケアが中心だった方が、誘いに応じて洗面台まで歩き、ご自身の手で口腔ケアに取り組む場面がありました。
強い言葉が出がちで関わりが途切れやすかった方が、袖を通す・足を上げるといった動作で応じてくださることも増えました。
難聴のある方とは、距離や目線、合図の工夫によってうなずきや笑顔での応答が安定し、入浴や歩行の誘いが通じやすくなったケースもあります。
ケアの合意は言葉だけではありません。職員はまばたきや表情の変化を手がかりに都度確かめながら、同じ方向を見て進む感覚を共有していきました。
入浴の場面では、不安を和らげる支え方と声かけを意識することで、終了後に「気持ちよかった」という言葉が返ってきたと報告する職員もいました。
(難聴の患者さんにはさまざまな工夫を凝らしてコミュニケーションをとります)
どれもがユマニチュード®の哲学と技術を用いた実習の積み重ねによって導いた手応えとして、参加者同士で共有しました。
参加者の声(要旨)
受講後の振り返りでは、「できているつもりの声かけが、実は一方通行だったかもしれない」「出会いの準備や目線をそろえると、表情がふっとやわらぐ瞬間がある」「“立つまで”を小さな段階に分けて確かめると、怖さが減って進めやすい」といった実感が語られました。
無意識に“やってあげる”が増えていたかもしれない――そんな気づきも共有され、合意を確かめながら一緒に進める姿勢をチームで確認しました。
多職種で取り組む意味
(実技では患者さん側の立場になることも大切です)
看護とリハビリが同じ方向を見て取り組むと、選択肢は自然と増えます。忙しい日常のなかでも続けられる関わりに落とし込むには、小さな成功を言語化し、次に渡していくことが鍵だと感じました。
言葉にすれば短い気づきでも、その背後にある体験は確かで、次の一歩を支える力になります。
そして、「抵抗がある場面での関わり」「無理のない“立つ”の促し」「忙しいなかでも続けられる声かけ」など、役割を越えて視点を持ち寄り、日常で続けられる実践へと繋げていこうという意識が受講者全員に強く芽生えたようです。
三芳の森病院のこれから
(三芳の森病院でユマニチュード®を広げていく役割を担う大切な職員たちです)
三芳の森病院では、今年度に複数回のユマニチュード®実践者育成研修を予定しています。受講者の中から実践をリードする役割を育て、病棟での取り組みを日常の文化として根づかせていきます。
研修は“特別な場”で終わらせず、毎日のケアに静かに広げていくもの――その思いを胸に、歩みを続けます。
これからも、毎日のケアのひとつひとつに「あなたは大切な存在です」という想いを静かに込めて。
