“その人らしく生きる”ケアを目指して
~三芳の森病院、ユマニチュード®実践者育成4日間研修を導入~

(長く立つことのなかった患者さまが、“関係性のなかで立ち上がった”瞬間)
2025年6月、三芳の森病院では医療法人社団明雄会が属するあすのきケアグループ(ACG)内で初めて、ユマニチュード®実践者育成4日間研修を実施しました。
今回の研修には、院内4病棟のうち2A病棟・2B病棟の職員が参加。看護師・看護助手・作業療法士の受講となり、経験年数も新人からベテランまでさまざまでした。
研修は4日間にわたり行われ、実技演習や患者さまにご協力いただいての実習を通して、日々のケアを見つめ直す機会となりました。
●創始者ジネスト先生、本田先生の来訪

(ジネスト先生と本田先生の前で、真剣に講義に臨む職員たち)
今回の研修では、初日と2日目にユマニチュード®の創始者イヴ・ジネスト先生、および日本ユマニチュード学会代表理事の本田美和子先生が三芳の森病院に来訪されました。
事前には予定されていなかったサプライズの訪問でしたが、直接お話を伺い、実際に指導を受けるという貴重な機会となり、参加した職員からは
「まさか直接お会いできるなんて思わなかった」
「本当に来てくださったことに感動した」
といった声があがりました。患者さまのケアに日々向き合う職員にとって、この出会いは大きな励みになったようです。
●ユマニチュード®とは

(“不安にさせない”を大切に、シーツで優しく包みながら入浴介助)
ユマニチュード®は、フランスで開発されたケアの哲学と技法であり、現在では世界各国の医療・福祉の現場で導入が進んでいます。ケアを受ける方との関係性を築くことを重視し、「見る」「話す」「触れる」「立つ」という4つの柱をもとに、身体的なケアと精神的な尊重を両立するアプローチです。
●研修の様子と参加者の声

(修了証を手にした職員たち。三芳の森病院におけるユマニチュード®の第一歩です)
今回の研修は、講義だけでなく病棟での演習や実習も取り入れた実践的なプログラムです。実際に患者さまに関わるなかで、受講者それぞれが新たな気づきを得る時間となりました。
「これまでも同じように声をかけていたつもりでしたが、ユマニチュード®として学んだことを実践して目線を合わせた瞬間、患者さまの表情がふっと和らぎました」
「“できない”と思い込んでいた方が、自ら立ち上がろうとした姿に驚きました」
「普段のケアをもう一度“関係性”という視点で見直したいと感じました」
このように、受講した職員たちからは「自分がしていたケアが実は一方的になっていたことへの気づき」や「ユマニチュード®を実践することで患者さまの反応が変わった驚き」、そして「その関わり方が、どれほど大切なのかを実感した」という声が多く寄せられました。
「ユマニチュード®を学んで実践する必要性」や「患者さまの反応の背景」を気づき直す場となったことが伺えます。
●組織としての第一歩と、これから

(歩き始めた患者さまの姿を、車いすが静かに見つめています)
三芳の森病院は、ACGグループにおける基幹病院として先行的にユマニチュード®を導入し、ケアの質向上を目指すモデル病院の役割を担っています。
今後は、実践者リーダーの育成や院内研修の展開を通じてユマニチュード®の哲学と技法を日常のケアに根づかせ、組織全体の文化として育てていく予定です。さらに、継続的に研修を実施し、段階的に実践範囲を広げていく計画も進行しています。
私たちが日々行っているケアのなかに、「あなたは大切な存在です」と伝えるまなざしを込めていくこと。ユマニチュードの研修は、その一歩を踏み出す大きなきっかけとなりました。
三芳の森病院では、これからも“その人らしさ”を大切にしたケアをチームで、組織で、積み重ねていきます。